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壱具

hiromi ueda

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10 July 2011

私が雅楽を始めたころは、雅楽に関する情報が極端に少なく、今のようにCDや映像が充実していることは、ありませんでした。テレビではちょうど、民間舞楽を広めた原笙子さん原作のドラマが流れていました。それから雅楽人口が増え、というより、「雅楽って、誰でもやってもいいもんなんだ」という認識が少しずつ広まり、楽部のかたと同じ舞台に立てる若手の優秀なプレーヤーも育ってきました。これは、先輩がたが、開くはずのなかった扉を少しずつこじ開けてくださったからでもあり、我々は感謝の念をいだきつつ、雅楽界から受けた恩恵は雅楽界にお返ししていく道を歩んでいくのでしょう。

博雅会「壱具」終わりました。何はともあれ、やってよかったと思います。考えてみれば、現在の雅楽の演奏会は、名曲集的なもの、あるいは省略バージョンで、というものが多く、今回のように「壱具」ひとそろえで演るという機会は、あまりにも少ないように思います。

オーケストラでも、ピアノのリサイタルでも、第1楽章から始まったら、最終楽章までやるのです。雅楽が短縮形ばかりというのは、あまりにさびしい。質の高い演奏をして、真摯な態度でのぞめば、お客様は来てくださいます。

蘭陵王壱具、実は、この日初めて見ました。博雅会メンバーが全国から集まるのは、当日だけなのです。今まで私が知っていたと思っていた蘭陵王はいったい何だったんだろうと思うぐらい、衝撃的でした。立ち会えてよかった。

今回、私は不覚にも体調をくずし、納得できる演奏ができませんでした。いい年して、何やってるのかなあ。打ち上げにも出られなかったうらみもあるし。幸い、蘭陵王壱具の機会は、場所と舞人を変えて、年内にもまだあります。

難波はもうすぐ夏祭りです。なんとかそれまでに体調を戻さないと。


Posted byhiromi ueda